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初めて改められたというものも含めて、その数字になったわけである。これは、私どもオンブズマンとしても予想以上に多いということでびっくりしたわけであるが、この制度の効用というか、市民の苦情の内容をオンブズマンの方で親身になって引き出してあげる、きめ細かく対応してあげるというような市民に対する後見的な役割によって、こういう結果が出てきたのかなあというふうに感じている。逆に「行政の不備がないもの」が53.5%であるが、これはもっと多いかもしれないと予測していたが、そういう数字になった。「行政の不備がないもの」という結論を出したことによって、オンブズマン制度が要らなかったとということには決してならないで、行政側にとっては、オンブズマンから調査に入られるということは、かなり不安材料でもあるわけで、「オンブズマンはこういう行政の処理についてどう評価するだろうか」ということを真剣に心配しているわけであるから、結果的に「行政の処理は妥当であった」「何も非違はなかった」という調査結果が出ると、非常に安心をして自信を回復するというか、今後の行政に自信をもって当たれるということで喜ばれるということを市長から聞いている。

是正勧告あるいは意見表明をしたものについて、レジュメに例をあげた。あまり時間がないので説明は省略する。

次に(市民オンブズマン制度の)効果についてであるが、この制度によってどういう効果があったかということを統計的にあるいは科学的に調査をしたことはない。したがって、効果はこうだということを申し上げるのは憚られるわけであるが、私ども3人のオンブズマンが6年間やっていて、当初の頃と終わりの項とでは、市の職員の対応が随分変わってきた。調査ということで市の職員に来てもらうと、最初の頃は向こうが非常に高飛車であったが、段々そういうことはなくなって、ヒアリングでは、事前にいろんな資料を準備して、帳簿なども何も言わなくても持ってきて説明をしてくれるというように非常に協力的になった。この背後には、やはり、オンブズマンが是正勧告をする場合には(これは伝家の宝刀であるから)、オンブズマンは記者クラブに連絡をした上、記者会見をし、「こういう内容について是正勧告をした」という発表をするわけであるが、そうすると、その日の夕刊に大きく出て、市の職員にとっては非常にショックなわけである。そういうことがあると、担当者は市長に呼びつけられて「今までどうして改められなかったか」と叱られるというようなこともあるようである。そんなこともあって、市民の苦情に対する職員の対応、考え方というものが非常に変わってきたなあということ、職員の緊張感がそこに出てきたなあということを私ども3人とも感じている。苦情の中には、土木局とか環境局とがそれぞれの内容に応じたいろいろの苦情があるが、各局に共通の問題として、職員の対応、職員の説明とかあるいは市民に対する窓口での対応が非常に悪かったという苦情がかなりある。各局共通の内容である。そういうことがあると、オンブズマンが事情をまず市民から聞いて、それからそういうことがあったかなかったかを担当者やその上司から聞く。もし、そういう事実が認められると、その職員と課長がその市民の所へ共々謝りにいくよう示唆する、ということを最初の頃しばしばやった。段々そういうことをやる必要はなくなってきたので減ってはきたけれども、これは職員としては非常にショックというか、間違ってもそういうことのないようにという意識が出てきたと思うが、日常の職員の意識が一般に非常に変わってきたように感じている。

 

 

 

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